2013年2月12日火曜日

開催報告 大阪大学 PC連合学会学生研修医部会 関西支部主催 第4回家庭医療ワークショップ


プロジェクトスタッフの菅家です。
2月3日に大阪大学で行われた 日本PC連合学会 学生研修医部会 関西支部主催のワークショップの報告をいただきました。
報告いただいた大阪医科大学の髙岡さん、ありがとうございます!!

そして、開催にご協力いただいた講師の先生方、大学教員の先生方にも感謝申し上げます。ありがとうございました!

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いつもお世話になっております。大阪医科大学 5年 髙岡 大介と申します。
2月3日日曜日に関西支部の2012年度第4回目のWSを開催させていただきました!

第4回WSは前回までの「特集の部」と「連載の部」の二本立てではなく、「特集の部」の二本立てで家庭医療についてのエッセンスをじっくり楽しむ勉強会と致しました。

今回はシリーズ初の特集の部の2本立て「地域包括ケアと多職種連携と」いうテーマを扱いました。以下、この勉強会を順に振り返ってみたいと思います。

特集の部 その①   地域包括ケア
尼崎医療生協病院  本田診療所 家庭医 玉井 友里子 先生

まずは先生が普段働かれていらっしゃる尼崎市についてのご紹介。尼崎市はどんな街かについての玉井先生ご自身の分析結果をもとに、「皆さんの住んでいる市(街)はどんなところですか!?みんなで考えてみましょう!」というところからグループワークが始まりました。
 写真1  特集の部 玉井先生のレクチャー  地域包括ケア の様子

グループワークとして自己紹介と出身地の自己紹介をした後、Community as Partner Model という要素によって、自分の住んでいる街を、街を特徴づける要素(住民・物理的環境・医療・保健・福祉・政治・行政・教育・交通・コミュニケーション…など)に分けて考え、グループ内で発表しました!

他のメンバーの発表を聞いて「メンバーの各地域間で特徴がまったく異なる」ということを理解し、自分の住んでいる地域で、「頑張っている点」・「問題点」を考察し、自分が住んでいる街を住みよい街へ変えていくにはどうしたらいいかをみんなで考えました。

私はこういう一つ一つの要素を「見える化」することが良い街づくりに繋がっていくのではないかと思いました。というのは、Community as Partner Model を家庭医療との接点で考えた時、家庭医は地域に溶け込んで医療を担い、街を構成する上記の各要素(住民・物理的環境…)のどの要素にも介在しうる存在であり、医療以外でも地域社会の主人公である住民と常に接点を持つことで、これらの評価・現状把握を行うことが可能だと思ったからです。またこれこそ、家庭医が住民・社会と共同して街づくりをすることを意味しているのではないかと思いました。

特集の部 その② 他職種連携
本田診療所 ケアマネージャー  内門 理香さん

続いて、ケアマネージャーの内門さんからの他職種連携についてのご講演!このセッションでは一人の患者さんが病院を離れてご自宅で生活されるために、ケアマネージャーをはじめ、医師以外の職種の方々がどのような視点で患者さんにアプローチをしているかを学びました。


写真2  特集の部 ケアマネージャー 内門 理香さんのレクチャー

まず、患者さんを知る第一ステップとして、患者さんが帰る家と入院病室の違いを考えてみました。家ではプライバシーが守られ、家族や知り合いがいるけれども、食事や運動などの健康問題に対する管理は自分で行わないとならず、一方病院では、スロープや手すりなどのバリアフリー化が家と比べて徹底されている・利便性がよい(院内にコンビニや銀行・自動販売機があるため)けれども、スタッフなどの部屋の出入りが多いので落ち着かない・ストレスが溜まりやすいなどの意見が出ました。

次に、第2ステップとして、人が家で生活するにあたり、私たちが日常どのようなことをしており、それらにどのような動作が必要となるかをリストアップしてみました。そして、自分の日常生活を思い出しながら、実際に疾患を持った患者さん(脳梗塞後の右麻痺あり・高血圧と糖尿病もちで独居(遠方に息子一人))が退院して家に帰るためにはどんな準備が必要になるかを考えてみました。私の班では、私達のしている何気ない行動の殆ど(食事・排便・入浴・)をこの患者さんが行えないために、通所リハ・訪問介護・訪問リハのサービスを利用し、また自宅内での転倒や骨折のリスク低減のために、自宅の改築・息子との同居も視野に入れ、更に処方薬剤の使用の徹底化のため、服薬指導やお薬カレンダーの作成を図るなど様々な検討をしました。

 写真3  グループディスカッションの様子

これらの過程から、患者さんをご自宅に帰れるようにすることがいかに大変であるかが分かりました。それを実感した後、実際に患者さんのプランを練るために、内門さんをはじめ本田診療所の在宅スタッフがどのように連携を取っていらっしゃるのかを分かりやすく説明していただきました。全てを説明することはできませんが、ケアマネージャーがされる業務には、「医師・薬剤師・患者さん(ご家族)などとの相談・意見の聴取」・「退院前カンファや毎朝の朝礼でのスタッフからの情報把握」・「患者依頼先のデイケア事業所の担当者との相談・調整(実際に赴くことも多い)」・「介護サービスの条件に合う計画表作成とアセスメント」・「各事業所の実施内容の把握と調整」などをご説明していただきました。ケアマネージャーの業務だけでも非常に多岐にわたり、看護師やリハビリやデイケアなど他のスタッフの業務も含めると、患者さん一人を家に帰すためには実に複雑な過程を経ていることを知りました。

最後に、この過程を実行するのに欠かせないコミュニケーションについて、ゲーム形式でのシミュレーション(10人ずつ2つのグループ内で大小2種類のボールを用意し、独立に渡し合うゲーム。大きいボールを心臓(隣の人に受け渡す)・小さなボール(2つ)を会話や業務内容にたとえて(野球のキャッチングのようにランダムに受け渡しする)、常にそれらが円滑に回るようにする)を行いました。これが非常に盛り上がり、「二つ以上の動作(会話・業務内容)を瞬時に把握して対応するのは難しい!」ということを身をもって体感することができました。

以上約4時間のプログラムという長いプログラムでしたが、終わってみるとあっという間で、しかも賑やかで大変濃密な一日だったという印象でした。当勉強会には、学生20名・講師2名・医師1名の計23人が参加し、全日を通して非常に活発に議論・質問が飛び交いました。私達関西支部は今回で2012年度4回目のWS開催となり、支部の規模や活動も拡大し、多くの方が楽しんで学べる場を提供させていただいております。当支部では2月23日に今年度最終回となるWSを企画しております。最終回WSも家庭医療のWSに来られるのが初めての方から複数回参加者まで多くの方に満足いただけるような内容でお届けしますので、お気軽にご来場ください。最後に本WSの集合写真を載せさせていただきます。どうか今後とも関西支部をよろしくお願い致します!

その4  集合写真  皆様どうもありがとうございました!
(文責 大阪医科大学 医学部 5年 髙岡 大介)

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